2022/04/13 13:23

白い たけのこ(自然光撮影、画像加工なし)

ある日発送した「京都産 大原野たけのこ」は、かなりの上物。
ここまで白いと、柔らかさと甘み、なにより香りがとてもよくて筍にありがちなえぐみがほぼなく、筍の固定観念を変えられてしまう美味しさです。

大きさと重さ(1本約700g前後)から考えると根元部分もゴリゴリした硬さではなく、適度な歯ごたえのある食感なはず。穂先はとても柔らかく、焼き筍、筍ご飯に最適なはず。あくまでこれまでの経験からくる予想ですけどね。


筍にも個性がある…

同じ竹林の同じ土壌で育っても、一本ごとに個性があると農家さんは言います。
竹と筍のメカニズムを完全に理解していない、体感していないので上手く伝わるか心配ですが、正確に言うと一本ごとではなく兄弟ごとの個性だそうです。

筍は一本の竹から一本しか芽をださないわけではありませんよね。
親竹の地下茎から小さな芽が土のなかで少しずつ成長し、順番に地面を割って出てきます。親竹の年齢(樹齢)や健康状態によって、新しく生まれてきた筍の見た目も味も違うので、一本ごとというよりは兄弟ごとに個性があるということのようです。もちろん兄弟のなかでも、何番目に生まれたか、天候はどうかによって個性が違う。つまり、色も柔らかさも美味しさにも違いはあるということです。

白子たけのこは多くない

ここ数年、白子たけのこはよく耳にするようになりました。
販売されているのもよく目にします。実際、京都大原野でも白子たけのこを収穫し全国に発送もしていますが、本当に真っ白なものはそんんなに多くはありません。なぜなら先ほどの兄弟ごとに個性がある理由でおわかりのように、どれほど長い年月をかけて知識と技術を積みあげても、人が操作できないことがあるからです。

筍は空気と光に触れると硬くなります。そのため、なるべく長く地中で育つよう土や堆肥を盛り親竹の地下茎の深さを調整しますが、直接深さを測れるわけではありません。また、その年によって土と堆肥の成分の調整も必要です。これらの多くは、農家さんの経験に基づいた計算と勘。IT技術を酷使して育てる、管理することができれば一律同じ白子たけのこが育つかもしれませんが、竹林は平坦な高原ではなくほぼ山なので、できたとしても…考えるのも怖い金額がかかりそうですね。

こういうことから、本当に白くて柔らかく甘い白子たけのこはそれほどポコポコ収穫できるわけではないのです。
ですが土壌のいい竹林で育っていれば、白子たけのこでなくてもじゅうぶん美味しい。朝掘って翌日中に茹でることができれば、灰汁もあまりでないので、えぐみもほぼなく甘いものが多いです。

信頼できる筍農家さんを見つければ、毎年美味しい筍が食べられる。
長年受継がれてきた知識と技術、先人の知恵を大切にしたいものです。