2022/05/31 18:57


日本最古のドライフルーツ

優しい甘みと淡い香りが多くの女性に好まれるドライフルーツ。
クレオパトラが愛したと言われるデーツ、太陽のように鮮やかな色に惹きつけられるマンゴー、ワインとの相性がいいフィグなど、さまざまなドライフルーツがあふれています。

それらの多くが海外から輸入されたもの。
今でこそ種類の増えたレーズンも、数十年前の子供の記憶をたどるとカリフォルニアレーズンが浮かんでくる程度。
スーパーマーケットではなく商店街や個人商店での買物が主流だった当時は、デパ地下や酒屋さんで買ったり、ギフトでいただくことが多かったように思います。海外との貿易が活発になると少しずつ種類が増えるとともに、国内産ドライフルーツもたくさん販売されるようになりました。

国内産ドライフルーツには、みかん、林檎のように古くから日本の生活になじんでいるもの、オレンジ、パイナップル、マンゴーといった国内で育てた外来フルーツのものがありますが、どちらも日本原産ではありません。みかんはおよそ1200年前、不老長寿の果物として中国から持ち帰った橘が原形で、林檎は明治の頃にアメリカから苗木を購入したもので、日本原産フルーツはとても少ないのだそうです。

そんな、とても少ない日本原産フルーツの一つとされているのが柿。
縄文時代や弥生時代の遺跡から柿の種が発掘されているほど、古くから日本で自生していたようですが全て渋柿。そのままでは渋くて食べられないので、いつしか天日に干して食べるようになり誕生したのが干し柿です。干し柿が文献に登場するのは平安時代で、祭礼用の菓子として使われていたと記されています。

千利休がお茶席で干菓子(現代の干菓子は和三盆糖を固めたもの)としてだしたことでも知られる干し柿。
実は日本最古のドライフルーツであり、砂糖が伝来する前や高価だった頃の甘味(おやつ)でもあったようです。



実は美容効果が高い干し柿

1200年以上もの長きにわたって日本人の生活とともにある干し柿ですが、他のドライフルーツに比べるとなんとなく地味なイメージ。スーパーやデパ地下などに常に並んでいるドライフィグやレーズンなどと違い、店頭に並ぶ期間が短いためか年中通してよく食べるという人は少ないのかもしれませんが、実はとても美容効果が高いのです。

◆ビタミンA◆
免疫力を上げ、皮膚や粘膜を健全に保つ働きがあります。
甘い生柿より干し柿の方が約4倍ほど多く含まれているそうです。

◆βカロテン◆
抗酸化作用があり、動脈硬化の予防や老化の原因となる酸化を防ぎます。
コチラもやはり、生柿より干し柿の方が約3~4倍多く含まれています。

◆タンニン◆
渋みのもとであるタンニンは、ポリフェノールの一種。
抗酸化作用で動脈硬化や酸化を防ぐアンチエイジング効果に期待大です。

◆食物繊維◆
美肌の敵とも言われる便秘の解消には、やはりコレがお勧めですね。
不溶性食物繊維が便の水分を吸収してかさを増やし、腸を刺激して排出をサポートしてくれます。
食物繊維は善玉菌のエサでもあるので、腸内環境の改善にもつながるそうです。

◆カリウム◆
ナトリウムを体外に排出してくれるので、むくみの解消や血圧の上昇をおさえます。

◆マグネシウム◆
体内で合成されないミネラルの一種で、骨や歯の形成、柔軟性、弾力性を高め骨折しにくくさせます。
神経の興奮を抑えたり、筋肉の収縮や弛緩の調整、抗動脈硬化作用など実に多彩。
干し柿には生柿の約3倍多く含まれます。


つまり、干し柿って実はとても栄養豊富で錆びないカラダの維持には最適ということです。
他のドライフルーツも同じようにたくさんの栄養素が含まれますが、気をつけたいのは加工の仕方。例えば砂糖でコーティングされていたり、保存料、亜硫酸塩(漂白、酸化防止のため)が使われているものも少なくありません。特に亜硫酸塩は食品添加物として日本では使用が認められているものですが、摂取量が決められています。また、国によっては使用そのものが禁止されているので食品の安全を気にされるようなら、なるべく無添加のものを選ぶことをおススメします。



オリーブオイル、ビネガーと相性がいい干し柿

干し柿にも種類があり、少し大きめで半熟感のある中がトロトロのもの、昔ながらのお婆ちゃん家の軒先で干したようなセミドライ感のものといろいろです。どれも甘く美味しくて、そのままでいくらでも食べてしまいそうになりますが、この甘みをいかしたドレッシングや、ワインにピッタリな一品にも使えます。

特にセミドライタイプのものはオリーブオイル&ビネガーとの相性がとてもよく、バックリブやスペアリブなどを煮込むのに最適。


画像はスペアリブのバルサミコ煮込み。
オリーブオイルでキツネ色に焦げ目をつけたスペアリブと、細かく刻みオリーブオイルで炒めたじっくり炒めた干し柿と香味野菜を少なめの水で少し煮込み、灰汁を綺麗にすくったら白ワインとバルサミコを加えて煮込むだけ。秋はキノコを加えたり、香味野菜にガーリックやジンジャーを加えても美味しくできます。バルサミコがなければ、白ワインビネガーや穀物酢でも大丈夫。砂糖の代替ではなく、味に深みをだしたい時に使ってみてください。※スペアリブ、バックリブは、塩胡椒をすりこんで1時間くらい置いて余分な水分を拭いてから焼くと臭みが抜けます。

もっと簡単なのは、クリームチーズに刻んだ干し柿、刻んだ胡桃をパラパラ散らし、オリーブオイルと好みのペッパーをかけるだけ。甘すぎなくて、ワインにちょうどいい美味しさです。ペッパーは何種類かミックスして使うのがおススメです。


酢の物に入れたり、最近ではクリームチーズを巻くレシピがでていたり食べかたいろいろ。
主流なのは丸ごと干したものですが、地域によってはカットして干したものがあります。丸ごとよりも食べやすく、料理のアレンジがしやすく保存しやすいのはカットしたもの。刻んでラムやウォッカなどに漬けておくとお菓子にも使えるので、楽しい美味しい時間が増えるかもしれません。