2022/06/11 15:53

干し椎茸のイメージ

20代30代の方100名にアンケートをとった、あるサイトの結果によると
「保存がきく」「美味しい」「いい出汁がでる」「栄養が豊富」「体にいい」「煮物など和食に使う」「手間がかかる」「戻すのが面倒」「高価」などの回答でした。

干し椎茸をこよなく愛する身としては、いい出汁がでると思っている方は少なくないようで嬉しいなと思っていたら、SNSやレシピサイトで「干し椎茸の戻し汁は捨てずに使おう」という文章を見つけ、知らない人もいることを知り認識を新たにしたのが数日前。世代の違いはあるとしても、生産者を含め、販売をしている我々サイドの伝えかた間違っていたと反省しきりです。


和・洋・中・韓 なんでも使える干し椎茸

結論から言うと、干し椎茸は和食だけでなく中華料理、台湾料理、韓国料理にもよく使われます。
『四川、広東、上海、北京』の四大中華料理や台湾料理でも、スープや炒め物などの出汁であり具材としても広く使われます。餃子、包子、春巻きの具材としてもお馴染みです。韓国でもスンドゥブに入れたりナムルにしたりと、とてもポピュラー。和食なら、煮物、炊込みご飯、佃煮の他薄くスライスしてすき焼きに入れたり、含め煮にして巻き寿司、ちらし寿司の具にしたりと身近な食材なのですが、自分で料理するとなると、戻す手間が面倒と思う方も少なくないようです。


それにしても、中国や韓国でもこれほど干し椎茸がよく使われるのでしょう。
それは両国ともに、医と食は根本的に同一つまり食べ物は常に薬であるという考えに基づいた、「医食同源」「薬食同源」の食文化が長く根づいてきたからなのではないでしょうか。干し椎茸は、それほど栄養価が高い食材ということです。


では日本では?
日本では、季節の食材を摂り入れる食が基本でした。様々な技術の進歩によって、今では多くの野菜が季節に関係なく手に入りますが、それはここ何十年かのことにすぎません。

旬の野菜には、その時期に必要な栄養素が最も多く含まれていると言われます。わかりやすいのが春の食材。
冬の間に溜め込んだ余分なものを排出するため、デトックス効果の高い苦みのある野菜が多いのだとか。夏は水分の多い野菜、秋は食材が減る冬に備えるため栄養価の高い野菜というふうに、四季のサイクルに合わせた食文化が根づいていました。


それなら干し椎茸は、秋に収穫した椎茸を保存用に干したのが始まりなのかと思っていたら、中国から帰国した弘法大師(空海)が伝えたことが始まりのようです。乾物の多くは中国で生まれているようで、乾燥させることで保存がきくだけでなく旨味が増す、栄養価がさらに上がることをよくわかっていたのでしょう。古代中国の先人の知恵さすがです。



干し椎茸は夏におススメ

暑い夏、つい冷たいものを摂りすぎたり、エアコンのきいた部屋で体を冷やしてしまうことも少なくない現代の生活。
冷えは体の機能のコントロールを妨げがちです。便秘になりやすかったり、余分な塩分や水分を体外にうまく排出できなかったりと、いい影響を与えません。でも暑い、我慢できない…の他、職場環境によってどうしようもないという方も多いかもしれません。


女性にとって、むくみ、便秘は不快でしかありません。
オフィスワークで一日座りっぱなしの夕方の脚、朝起きた時のパツンパツンの顔、下腹が重くて固いようなあの感覚、何とかしたいと思う瞬間ありますよね。そんな不快感、食生活を見直してみると少しずつ軽減できるかもしれません。


干し椎茸には、こんなにたくさんの栄養素が含まれます。
★ カリウム(生椎茸の約7倍)
★ 食物繊維(生椎茸の約9倍)
★ ビタミンD(生椎茸の約30倍)
★ グアニル酸
★ レンチオニン
★ エリタデニン

このなかでカリウムと食物繊維は、むくみ、便秘の解消に一役かってくれる栄養素はこれ。
★★ カリウム … 余分な塩分を排出し細胞の働きを正常に保つ、血圧調整
★★ 食物繊維 … 腸のぜん動運動を促し排便を助ける、血糖値の上昇を緩やかにする、免疫の向上


動脈硬化や血栓予防作用のあるビタミンDやグアニル酸など、他の栄養素も紹介したいのは山々ですが…
記事を書いている私がそもそも長い文章を最後まで読まないので、「むくみ」にしぼって紹介しました。


放置すると旨味が増す干し椎茸の戻し方

戻すのに手間がかかって面倒くさいと思われがちなので、手間をかけずさらに美味しくなる戻し方を紹介します。
1、密閉容器に干し椎茸を入れ水を入れます
2、なるべく空気を残さないように蓋をしめ、冷蔵庫へ
3、約24時間~48時間そのまま放置


いかがですか?とっても簡単、手間かかりません。
使う数時間前に戻す、急いでいる時はレンチンという方がまだまだ多いかもしれませんね。
それでも美味しいのですが、冷蔵庫でじっくり戻すと旨味がじわじわ抽出される、そんなイメージでさらに美味しくなります。
出汁だけ使って戻した椎茸が残りそうなら、サッと茹でジップロックに入れておくと冷蔵庫で2~3日は保存できます。薄くスライスしておくと、炒め物、煮物にスグ使えます。出汁は魚介系と違い癖がないので、焼きそば、炒飯、野菜炒め、うどん、炊込みご飯、何にでも使えて本当に便利。※画像は48時間後(色補正なし)。いつも昆布出汁と合わせて使うので昆布も一緒に写ってます。




干し椎茸とベーコンの塩バター炊込みご飯

いろんな料理に使える万能食材、干し椎茸。最後に簡単で美味しいおススメレシピをご紹介。
細かく刻んだ干し椎茸とベーコンを、干し椎茸の出汁と塩のみで炊込みご飯にし、炊きあがりにバターを混ぜ込んで蒸らすだけ。
あとは、ブラックペッパーや山椒など好みの香辛料をふったり、胡麻などのトッピングをちらしたり、それぞれの好みで召し上がっていただけます。醤油はもちろん味噌との相性もよく、焼きおにぎりにしても美味しくてお弁当にも最適。


ここ何年かで、たくさんの調味料や便利なものが増えました。
外食、デリバリー、テイクアウトも増え、濃いめの味に慣れている方も多いと思います。
それぞれの好みもありますしもともとの体質も違うので、一概に濃い味つけは体に負担をかけると言い切れませんが、体は食べたもので作られます。中国や韓国の「医食同源」「薬食同源」を無理なく日々の生活に取入れてみてください。