2023/02/18 11:41


小ぶりで柔らかい2月の筍

350ml缶くらいの小ぶりサイズで、白くて柔らかい筍たち。
春に旬を迎えるとされる筍ですが、寒い冬でも竹は子を産みます。「竹が子を産む」というのは、江戸の頃から続く筍農家さんが良く使う表現。

この表現は、植物が子を産むというという認識がなかった私の竹の見方を変えました。
多くの野菜は、化学の力で何らか種子の遺伝子を操作されていたりしますが、竹はそれができない植物。
それは地中に張った地下茎から、新たな芽がでるメカニズムだからのようです。

地下茎からでた小さな芽は、しばらく土のなかで育ちます。
気温や湿度、土の硬さなどによって発育スピードは違いますが、少しずつ大きくなり、やがて土の表面を割り頭をだしますが、筍は光と空気に触れると硬くなっていくので、収穫のタイミングはとても重要。

冬の筍はもともとが小さく柔らかいことに加え、頭をだしても春より陽ざしが弱く空気も冷たいので、硬くなりにくい条件がそろっています。そのため灰汁も強くなりにくく、茹でていてもほとんど灰汁がでません。


市場に出回らない

2月の筍は、数そのものが多くないので市場に出回ることがありません。
ほとんが高級料亭、ミシュラン級の飲食店で使わるためです。市場でつく価格も驚くほど高い。
※市場でつく価格は、筍全てが同じではありません。白さ、柔らかさ、香り、傷のありなしで異なります。
それほど希少ということです。

3月に入ると、冬の筍から、初春の筍へと変わります。
サイズも500ml缶くらいと少し大きくなりますが、白さや柔らかさはそれほど大きく変わりません。
特に白さは、農園によってまったく異なり、白子たけのこと言われるほど白いものは本当は少ない。それは育つ環境によって大きく違ってくるからで、土の養分、水分、もともとの質によって、白さ、柔らかさ、香りと甘みが全然違う。

高齢化する筍農家さんたちが、長年培ってきた知識と技術。
筍の本当の美味しさを知ってしまうと、朝堀りを買い、自分で灰汁抜きをすることが面倒だと感じなくなるから不思議。


今年もそろそろ、販売が始まる時期。
多くの人に知ってほしい、京都大原野、京都大枝塚原の白子たけのこ。
販売スタートの前に行う、今年の筍の美味しさはどんなものか確認をする招集が待ち遠しい今日この頃。